観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業

観光需要分散のための地域観光資源の
コンテンツ化促進事業

公募要領および様式1~5の記載内容について、申請にあたって書き込むべき詳細や必須要件、審査の観点などを網羅的に抽出・整理した実務ガイドです。

本公募は非常に要件が細かく、申請書(事業計画書等)において「審査の観点」にいかに的確に答えるかが採択の分かれ目となります。

この公募のポイント ― 採択される事業計画の全条件

本補助金は、単なるアイディアコンテストや地域おこしのイベント支援ではありません。「国益(インバウンド外客による地方での外貨獲得)」「持続可能なビジネスモデルの構築」を厳格に求める投資です。

本公募要領の最大のメッセージ:「一過性のイベントや採算度外視の自己満足な取組には一切お金を出さない」という強い意志が貫かれています。採択される事業は、以下の5つの柱(大前提・類型別戦略・差別化・自走性・加点要素)を完璧に網羅している必要があります。

第1章:採択されるための「3つの大前提(絶対条件)」

いかなる類型で申請するにせよ、以下の3つの条件が事業計画の根底に流れていなければ、審査の土俵にすら上がりません。

1. 徹底した「マーケットイン」に基づくインバウンド集客戦略

採択される事業は、地域の資源を「売りたいから売る(プロダクトアウト)」のではなく、「特定のインバウンド層が強く求めているから、それに合わせて地域資源を磨き上げる(マーケットイン)」というアプローチをとっています。

公募要領には「明確なターゲット層を設定のうえ、需要に即した観光コンテンツを造成し販売する」と明記されています。

採択される計画書では、「北米の富裕層」「台湾の30代リピーター」といった明確なペルソナが設定されており、彼らの消費動向やニーズ(例:本物の伝統文化に触れたい、自然の中でウェルネスを体験したい等)を客観的なデータや調査に基づいて提示しています。その上で、「このニーズを満たすために、地域のこの資源をこう加工して提供する」という論理展開が完璧に成立しています。

2. 「地域の巻き込み」と圧倒的な「域内調達率(経済波及効果)」

本事業の目的は「観光による経済効果を全国津々浦々に波及させること」です。したがって、1つの企業が単独で儲かるだけの事業は不採択となります。

採択される事業は、宿泊事業者、交通事業者、地元の農林水産業者、伝統工芸の職人、飲食店など、地域の多様なステークホルダーを巻き込んだ「面的な取組」になっています。

さらに重要なのが「域内調達率」です。事業を実施するために必要な食材、備品、ガイド人材、サービスなどを、地域外の企業から購入するのではなく、地域内でお金を循環させる仕組み(地域への裨益)が明確に描かれています。「この事業が成功すれば、地域の○○産業にもこれだけの経済効果がある」という波及効果が数値やロジックで示されている計画が高評価を得ます。

3. 年間を通じた「恒常的な提供」による需要分散

「年に1回、または2回の開催に限定されるイベント等(フェスやスポーツ大会)時にしか提供できない観光コンテンツの造成が主目的の取組は認められません」と強いトーンで記載されています。

採択されるのは、大都市(ゴールデンルート)や特定のハイシーズンに集中しているインバウンド需要を、「地方」へ、そして「オフシーズンや平日・朝夜」へと分散させる取組です。

通年で提供できる、あるいは特定の季節であっても一定期間継続して提供できる「持続的な地方誘客」の仕組み(体験プログラムや滞在プラン)が構築されていることが絶対条件です。

第2章:類型別「採択のストライクゾーン」

本事業には3つの類型があり、それぞれ「国が求めている正解(ストライクゾーン)」が異なります。自社の強みに合わせて最適な類型を選び、その要件を深掘りする必要があります。

【新創出型】「未利用資源の覚醒」または「既存資源の再定義」 想定採択数 350〜400件

採択されるのは、これまで観光に全く使われていなかった地域資源(例:立ち入り禁止だった工場、地元民しか知らない自然景観)を「新規に活用」するか、すでに存在する観光資源に「新たな価値を付加」(例:昼間だけの施設を夜間貸切にする、見るだけの工芸品を職人と作る体験にする)する事業です。

単なる「名所めぐり」ではなく、「そこでしかできない体験(コト消費)」を生み出しているかが問われます。コンテンツ造成の経験は不問ですが、その分「誰がどうやって形にするのか」という実行体制の具体性が厳しく見られます。

【分野特化型(ガストロノミー)】「食の背景にあるストーリー」の体感 想定採択数 10件程度(非常に狭き門)

採択されるのは、単に「地元の美味しい高級食材を食べるレストラン」ではありません。

「その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史」といった「食資源の背景にある地域独自の要素との関係性」が整理され、ストーリーとして提供される事業です。

例えば、「漁師と一緒に船に乗り、伝統的な漁法を体験した後に、地元の古民家で地域の食文化の歴史を聞きながらその魚を食す」といった、「飲食サービス」と「体験商品」が高度に融合した先進事例です。地域の生産者や飲食店を巻き込む体制が必須条件となります。

【品質向上型】データドリブンな「高付加価値(高単価)化」 想定採択数 100件程度

採択されるのは、すでに国内客等に売れている既存商品を、インバウンドの富裕層・高単価層に向けて「大幅にアップグレード」する事業です。

ここでは「現状分析の妥当性」が極めて重要視されます。既存商品の売上、収益性、リピート率などを客観的に分析し、「なぜ現状のままではインバウンドの高単価層に売れないのか」という課題を特定している必要があります。

その解決策として、「通常ではアクセスできない場所の特別開放」や「人間国宝クラスの職人によるプライベート対応」など、インバウンドにとっての「特別な価値(特別性)」を付加し、単価を大幅に引き上げる明確なロジックがある事業が採択されます。また、プロの目線を入れるため、DMCやランドオペレーター等の旅行業者の参画が必須とされています。

第3章:審査の観点から導く「勝てる事業計画書」の書き方

様式1(事業計画書)を作成する際、審査員は以下のポイントに絞って採点を行います。採択される事業計画書は、これらの観点に対して「逃げずに、具体的に」答えています。

① 圧倒的な「地域独自性」と「他地域との差別化」

日本全国から多数の応募がある中で、「綺麗な海」「美味しい和牛」「古い神社」といったありふれた要素だけでは埋もれてしまいます。

採択される事業は、「単に地域の観光資源を活用するものではなく、地域独自の自然、歴史・文化や、暮らし等その地域ならではの要素を踏まえた独自性」を言語化しています。

「なぜ、日本中の他の地域ではなく、この地域でなければこの体験は成立しないのか?」という問いに対し、明確な差別化要因(歴史的背景、独特の地形、唯一無二の人物など)を提示できている計画が高得点を得ます。

② 「誰が、どう売るのか」が明確な実施体制と販路開拓

補助金をもらって立派なコンテンツを作っても、売れなければ意味がありません。公募要領には「試行的に観光コンテンツを造成してモニターツアーをするまでにとどまるような、当初から販売する予定のないものは認められません」と強烈な釘が刺されています。

採択される事業は、プロジェクトの初期段階から「販売経路(OTA、旅行会社、ランドオペレーター等)」が具体的に想定されており、誰が催行責任を持ち、誰が販売責任を持つのか(運営実施事業者)が確定しています。さらに、ターゲットに合わせた効果的なプロモーション(SNS、Web広告、旅行博出展等)の計画が、予算とともに綿密に練られています。

③ どんぶり勘定を排した「シビアな収益性(自走化)」

補助金はいつか終わります。公募要領には「補助金がなければ販売することができない採算度外視の観光コンテンツの造成は原則認められません」と明記されています。

採択される事業計画書には、以下のようなシビアな収益計画が記載されています。

  • 販売価格の妥当性:コストの積み上げだけでなく、「ターゲットがこの特別な価値にならいくら払うか」という視点での適正な価格設定(単価)。
  • コスト管理:事業継続にかかる変動費(ガイド代、食事代、交通費等)と固定費(システム維持費、広告費等)のリアルな内訳。
  • 黒字化のロードマップ:「販売開始初年度はこれだけ売り上げ、○年後には補助金なしでも自走し、安定的な利益を生み出す」という中長期的な収支シミュレーション。

第4章:採択を決定づける「強力な加点要素」

競争が激しい補助金において、ボーダーラインを抜け出すためには「加点要素」を確実に拾う必要があります。公募要領には、明確に以下の要素があれば「加点される」と記載されています。

1. DXを活用した「省力化・省人化・利便性向上」の取組

現在、観光業界最大の課題は「人手不足」です。素晴らしいコンテンツを作っても、対応するスタッフがいなければ継続できません。

そのため、以下のような施策を事業計画に組み込み、「少ない人員でも、補助事業終了後に継続的にコンテンツを供給・販売し続けられる体制」を構築する計画は、極めて高く評価(加点)されます。

  • AIチャットの導入による多言語顧客対応の自動化
  • 予約・決済・在庫管理システムの導入による業務の標準化・平準化
  • スマートロックや多言語音声ガイドによる無人化・省力化

費用積算(様式2)においても、単価50万円未満のシステム構築費等を「備品の購入・設備の導入に係る経費」として計上し、業務効率化を図る姿勢を見せることが重要です。

2. 「持続可能な観光(サステナビリティ)」への準拠

インバウンドの富裕層や欧米豪層は、地域の環境や文化に配慮したサステナブルな観光を強く支持します。

実施主体または連携先が、「持続可能な観光」に係る国際基準(GSTC基準、グリーンディスティネーションズ、ベストツーリズムビレッジ、JSTS-Dなど)に準拠している、またはその認証に向けた具体的な取組を行っている事業は加点されます。地域の自然環境を保全しながら観光利用するルール作りなども評価の対象となります。

3. 国の上位計画・施策との連動

国の他の施策と連動し、相乗効果を生む事業は加点されます。

  • クールジャパン戦略会議が選定する「コンテンツ地方創生拠点」において推進されている取組。
  • 広域連携DMOが策定する「広域連携観光戦略」に基づき、実施計画に明確に位置づけられた取組。

これらに該当する場合は、様式1の該当欄に必ずチェックを入れ、詳細を記載することで確実な加点を狙います。

第5章:一発で不採択になる「致命的なNG要素(落とし穴)」

最後に、どんなにアイディアが面白くても、以下の要素が含まれていると審査の対象外(不採択)となります。採択される事業は、これらの地雷を完璧に回避しています。

NG①「モノ消費」だけで終わる事業

伝統工芸品や地場産品を「買わせるだけ」の事業はNGです。「モノ消費と一体となった特別な体験(コト消費)」を組み合わせ、滞在や体験を伴うプログラムに昇華されていなければなりません。

NG② インフラ整備や単なるハード整備が主目的の事業

トイレの改修や単なる施設の建築、一般的な工事費は補助対象外です。備品や設備の導入(システム等)は認められますが、あくまで「コンテンツ造成や提供の省力化・利便性向上」に真に必要不可欠なものに限られます。品質向上型や区分2においては、コンテンツ造成そのものにかかるソフト経費を総事業費の50%以上にするという厳格な縛りがあります。

NG③ 国内向けのみを想定し、インバウンド目線が欠落している事業

本事業の目的は「インバウンドの需要分散」です。国内客のみを対象とした取組は明確に「認められません」と記載されています。多言語対応(ガイド、表記、サイト)、インバウンドが好む決済手段の導入海外OTAでの販売ルート構築などが必須です。

NG④ 経常経費や自社利益の計上

常勤職員の人件費、家賃、光熱費などの「会社を維持するための経常経費」は一切計上できません。また、関連会社や自社グループ内で発注を回し、そこに「利益等相当分」を上乗せして補助金を申請することは固く禁じられており(利益排除の原則)、発覚すれば交付取消となります。採択される事業は、外部の専門家や事業者との明瞭な取引に基づく見積もりで構成されています。

総括:採択される事業計画書の姿

一言で表すと:「地域の宝(資源)を、世界の富裕層(インバウンド)が買いたくなる形(コト消費)に磨き上げ、地域全体が潤う仕組みを作り、ITの力で人手不足を補いながら、補助金がなくても永久に儲かり続けるビジネスの設計図」です。

夢やアイディアを語るだけでなく、客観的データ緻密な収支計算関係者の強固な連携体制、そして明確な販売ルートという「ビジネスとしてのリアリティ」が隅々まで書き込まれた計画書こそが、本事業において確実に採択を勝ち取るものとなります。

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解説動画

第1部:申請書に書き込むべき詳細(公募要領・審査の観点からの抽出)

本事業の目的は「観光による経済効果を全国津々浦々に波及させ、観光消費を効果的に拡大させるとともに、持続的な地方誘客により観光需要の平準化につながるよう、インバウンドの需要分散に資する観光コンテンツ供給の促進」です。

申請書には、この目的に合致していることを論理的かつ具体的に記述する必要があります。

1. 申請する類型と区分の決定と要件の明記

まず、自社の事業がどの「類型」と「区分」に該当するかを明確にし、それぞれの要件を満たす計画を書き込む必要があります。

【3つの類型】

申請書には、以下のいずれかの類型に合致する内容を書き込みます。

新創出型

地域資源を活用したアイディアをもとに、インバウンドを対象に新規にコンテンツを造成する(コンテンツ造成の経験不問)。

補助額400万円まで定額、超過分は2,100万円まで1/2補助
最低事業費600万円
分野特化型(ガストロノミー)

地域の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統等を活かしたガストロノミーツーリズム分野の先進事例となりうるコンテンツ造成。

要件:連携体制内に「地域内での飲食サービス提供機能」と「体験商品の提供機能」を持つ地域事業者を含むこと。

補助額400万円まで定額、超過分は2,500万円まで1/2補助
最低事業費600万円
品質向上型

既存の観光コンテンツ(ベースとなる販売実績のある商品)を、より高単価なインバウンド向けに改善する。

要件:

  • 旅行業者が体制に参画すること
  • 市場ニーズや適正価格のノウハウを持つDMCやランドオペレーター等が参画すること
  • 既存コンテンツの販売実績があること(国内向けでも可)

経費要件:観光資源を活用した観光コンテンツの造成に係る経費を事業費の50%以上とすること。

補助額800万円まで定額、超過分は4,200万円まで1/2補助
最低事業費1,200万円

【3つの区分】

事業の進捗度合いに応じて区分を選択し、スケジュールや経費計画に反映させます。

区分概要必須要件
区分1 事業期間内(令和9年2月末まで)にコンテンツの造成から「販売」までを行う。
  • 期間内に観光コンテンツタリフまたはOTA向け掲載情報票を提出
  • 販売経路に乗せ、購入できる状態にする
  • SNS等でデジタル上に情報掲載する
区分2 期間内に造成および販路基盤の整備を行い、販売開始は「事業終了後速やかに」行う。
  • 新創出型・分野特化型の場合、観光資源を活用した造成経費を事業費の50%以上とすること
区分3 令和6年度(分野特化型は令和7年度)の特定事業の「継続事業」として、情報発信・販路開拓等を行う。
  • 区分1と同様、期間内の販売と情報発信が必須

2. 審査の観点(=事業計画書に必ず書き込むべき論点)

事業計画書(様式1)を作成する際は、以下の「審査の観点」を網羅し、審査員に高く評価されるように詳細を書き込む必要があります。

① 観光地域づくりへの寄与・地域の現状分析
  • 巻き込み力:単独事業ではなく、地域の産業(農林水産業、伝統工芸など)や地域の関係者・事業者を幅広く巻き込んだ取組であること。連携図や役割分担表を用いて、誰がどう関わるかを具体的に書く。
  • 経済波及効果・域内調達率:地域への裨益が高いこと。食材や備品、ガイド等の調達を地域内で行い(域内調達率の高さ)、地域社会の活性化にどうつながるかを数値や論理で明記する。
  • 現状分析(分野特化・品質向上の場合):当該地域の食資源や課題を深く把握していること。中長期目標と本事業の目標が、現状の課題解決に直結していることを示す。
② 新規性・特別性・品質向上の妥当性
  • 新規性(新創出型):これまで未活用だった資源の活用、または既存資源への「新たな価値の付加」を明確に言語化する。
  • 特別性(品質向上型):モノ消費と一体となった高付加価値化、通常アクセスできない場所への特別開放など、「インバウンドにとって特別な価値」を証明する。
  • 品質向上の妥当性(品質向上型):既存コンテンツの売上・収益性・リピート率等のデータを分析し、課題を特定した上で、高付加価値化に直結する改善策であることを示す。ターゲット層の強い関心を示す客観的根拠(調査データ等)も書き込む。
③ 地域独自性
  • 単なる資源の紹介ではなく、その地域の「自然、歴史・文化、暮らし」などの背景にあるストーリーと結びつける
  • 他地域(他の観光地)と明確にどう違うのか(差別化要因)を言語化する。
④ 具体性・計画性(マーケットインの発想)
  • 目標、達成方法、事業費内訳の具体性。
  • 「マーケットインの発想」が最重要。明確なペルソナ(ターゲット層の国籍、年齢、志向など)を設定し、「なぜその層がこのコンテンツを欲しがるのか(需要に即しているか)」を説得力を持って記述する。
  • 体験価値の向上にどう寄与するかを書く。
⑤ 実施体制・持続性
  • 補助金終了後も継続して販売・運営していくための「地域に根差した体制」が構築されていること。
  • 「誰が販売するのか(催行・販売事業者)」を確定させる。
  • 試行的なモニターツアーで終わる計画は採択されないため、将来の自走に向けたロードマップを記載する。
⑥ 収益性
  • 販売価格の根拠(ターゲットが納得する価格設定)、コスト管理(変動費・固定費の把握)、販路計画を具体的に書く。
  • 将来的な収支バランスのシミュレーション(何年後に黒字化するか等)を提示し、採算度外視の事業ではないことを証明する。
⑦ 加点項目(該当する場合、必ず詳細を書き込むこと)
  • 省力化・省人化:ICTツールの導入(予約管理、AIチャット顧客対応)、業務の標準化・平準化により、継続的な供給体制をどう整備するか。
  • 持続可能な観光:JSTS-D、グリーンディスティネーション、ベストツーリズムビレッジ等の国際基準に準拠した取組の有無。
  • コンテンツ地方創生拠点:クールジャパン戦略会議の選定拠点関連の取組。
  • 広域連携DMO:広域連携観光戦略に基づく実施計画に位置づけられた取組。
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第2部:様式1~5で記入しなければならない内容の完全網羅

電子申請で提出する各様式には、厳格な入力ルールと文字数制限、必須記入項目が定められています。以下に各様式の全記入項目と、PDF記載要領に基づく「具体的にどう書くべきか」を完全に網羅します。

重要:3つの類型で様式の記載要件が異なります
様式1~5は3類型共通のフォーマットですが、記入すべき内容・必須連携先・経費ルールが類型によって大きく異なります。 以下では共通事項を示した上で、類型固有の要件を色付きボックスで明示しています。
新創出型 ガストロノミー型 品質向上型

【様式1】事業計画書(Word/Excel・フォーム等)

事業の根幹となる最も重要な書類です。以下の全項目を記述する必要があります。

① 実施主体等概要
①-1 事業名

40文字以内。造成コンテンツの内容が分かる名称にする。

①-2 事業概要

100文字以内。端的にどんな地域資源でどんな取組をするか。

①-3 事業期間中の主な取組事項

5,000字以内

記載要領:誰が、どんな取組を、どういった目的で、どのような工夫を持って取り組むか、事業参画者以外でも分かるように具体的に記述する。
①-4 補助対象事業との合致状況
  • 需要分散への寄与(地域的、時間的に分散させる取組であるか)。
  • 提供の恒常性(1年を通じ一貫して提供可能か、または特定の季節に提供可能か)。
①-5 事業を実施する都道府県・市区町村

複数地域の場合は全て列挙。

①-6 実施主体
  • 名称、設立年月日、HP URL、代表者氏名(フルネーム)、役職名、住所、担当部署、担当者名、連絡先(電話、MAIL)。
  • 実施主体の分類(地方公共団体、DMO、旅行業の有無などから選択)。
  • 任意団体の場合の構成(代表団体名、その他構成団体名と役割)。
①-7 連携先 共通

団体/組織名、所在地、法人種別、旅行業登録の有無、担当者名、電話、メールアドレス、「本事業における具体的な役割」を明記。

ガストロノミー型 ― 連携先の必須機能(絶対条件) 本類型では以下の「2つの必須機能」を担う連携先が絶対に必要です。
  • 必須機能①:「地域内での飲食サービス提供機能」を担う事業者(飲食店など)
  • 必須機能②:「体験商品の提供機能」を担う事業者(農業従事者、旅行代理店など)
誰が料理を提供し、誰が体験(収穫体験や漁の同行など)を提供するのかを明確にし、それぞれの役割と責任分掌を具体的に書きます。
品質向上型 ― 必須参画プレイヤー(絶対条件) 本類型では以下が実施体制に参画していることが絶対条件です。
  • 旅行業者(種別:第一種、第二種、第三種等を併記)
  • 市場ニーズ・適正価格のノウハウを持つDMC、ランドオペレーター等
単に名前を連ねるだけでなく、「欧米豪富裕層向けの販路開拓」「インバウンド目線での適正価格の算定とコンテンツ監修」など、専門的知見がどう事業に活きるかを明確に書き込みます。
①-8 実施主体の経営状況
  • 経営指標:売上高、営業利益、現預金残高、有利子負債残高等。
  • 運営指標:本事業に係る総事業費と自己負担額。
  • 自己負担金の財源:自己負担金(現預金・内部留保、または金融機関借入等)をどのように調達するかを具体的に記載。
② 事業実施背景
②-1 本事業で取り組む地域の課題と原因
記載要領:地域課題(どのような事象が発生し、どんな影響を及ぼしているか)と、その原因を第三者にわかるように記述。「観光需要の集中・偏在が地域や周辺で発生しているか」にも触れること。
②-2 解決策として観光コンテンツ造成を目指す理由
記載要領:提示した課題のうち本事業でどれを解決するのか。観光コンテンツ造成・販売が有効かつ妥当な解決手段である理由を具体的に記載。
ガストロノミー型の書き方 一般的な観光課題だけでなく、「地域と地域の食資源等をとりまく課題」を幅広く記載します(例:地元食材の消費低迷、第一次産業の担い手不足、伝統的調理法の継承危機など)。なぜ「ガストロノミーツーリズム」でなければならないのか、食を通じた課題解決(第一次産業への利益還元など)にどう直結するかを論理的に書きます。
品質向上型の書き方 「良い資源はあるが、インバウンド向けの高単価商品になっておらず、地域にお金が落ちていない(通過型観光になっている)」といった経済的な課題を中心に据えます。なぜ新しく作るのではなく「既存のこのコンテンツを改善する」ことが最も有効なのかを記載します。
③ ターゲティング
③-1 主なターゲットの国籍や地域

北米、欧州、豪州、中国、台湾、韓国、香港、東南アジア等から選択し、最も中心的なターゲットにをつける(日本国内中心は不可)。

③-2 ターゲット像の詳細
記載要領:属性情報(性別、年齢層、資産、愛好分野、新規客かリピーターか等)を記載。ターゲットを具体的に絞り込むため、2つ以上の条件を設定する。
③-3 ターゲットの設定理由
記載要領:なぜその層なのか。地域の観光需要の状況とターゲットの関連性。「こういった客層なら自信をもって楽しませられる」という理由。根拠となるデータ(調査名、機関、時期等)を含めること。
ガストロノミー型 ― 食習慣への配慮が必須(特有設問あり) 「おいしい食事」という曖昧な表現はNGです。その層が求める体験(例:Farm to Tableの思想、発酵文化のルーツ探求)を具体的に書きます。さらに「食習慣上の注意点等への対応」(ヴィーガン・ベジタリアン、グルテンフリー、ハラール対応、アレルギー対応など)や、「地域内での食資源の供給可能量」(需要が増えすぎて資源が枯渇しないか)について、現実的な想定と対応策を必ず書き込みます。
品質向上型 ― 高単価を買う層の特定 「とりあえず外国人に来てほしい」ではNGです。「知的好奇心が高く、本物の伝統文化には糸目をつけずにお金を払う欧米豪の富裕層・アッパーミドル層」など、高単価商品を購買するペルソナを解像度高く設定します。
④ 商品概要
④-1 活用する地域資源
  • 資源の名称
  • 概要・特徴・許認可の有無
記載要領:地域資源の概要、主な特徴、地域独自性、他にはないユニークな点。他地域の類似資源と比較し「どのような点が特徴的ゆえに地域独自の観光資源といえるのか」を記載。総花的にせず、ストーリー性が明確になるよう資源を絞り込む。※国立公園等を利用する場合は許認可の内容を記載。
④-2 造成する観光コンテンツのテーマ分類

スポーツ、ウエルネス、自然・アドベンチャー、歴史、アート、食、夜間・早朝、農業・農泊などから該当するものを全て選択。

④-3 造成する観光コンテンツの内容
記載要領:以下の①~⑦を全て網羅すること。
  1. 観光コンテンツの商品名称、価格
  2. 概要や特徴(どのような面白み、価値を感じ取れるか等のストーリー性
  3. 想定する販売開始時期(モニター実施時期含む)
  4. 観光コンテンツの行程
  5. ガイド等のインバウンドに対する多言語対応状況
  6. 想定されるアクセス方法(主要駅・空港からの移動手段等)
  7. 宿泊施設(利用が想定される場合)
ガストロノミー型 ― 食の背景にあるストーリーの言語化
  • ④-1 地域資源:「美味しいお米と和牛」だけでは不十分です。「食資源(食材・食文化・調理方法等)だけでなく、その背景にある地域独自の要素(自然・歴史・文化・暮らし等)」を必ず記載。「この地域のお米は、他地域と比べて何が違い、地域の自然(水脈や土壌)や文化とどう結びついているのか」を深く掘り下げます。
  • ④-2 テーマ分類:「食・食文化」に加え、もう1つ以上のテーマを必ず選択しなければなりません(例:食×農業・農泊、食×歴史、食×自然・アドベンチャー等)。
  • ④-3 行程:行程の中で「生産者・飲食店等の食分野と、体験商品事業者等の観光分野を幅広く巻き込んでいるか」が審査されます。
品質向上型 ― Before→Afterの明示と「特別性」の証明
  • ④-3:既存商品の販売実績(年間○人、単価○円等)をベースに、本事業で「どこをどう改善し、どのような価値を付加するのか」を明確にします。
  • ④-4(★最重要):審査の観点にある「特別性」をここで証明します。例:「通常は非公開の国宝級の寺院を夜間貸切にする」「人間国宝の職人の工房に入り、モノ消費(工芸品の購入)と一体となった特別なプライベート体験を提供する」など。
④-4 想定されるターゲットのニーズを踏まえ、コンテンツ設計上行う工夫
記載要領:ターゲット層の具体的なニーズを明確にし、それに対応する体験価値、提供条件等を関連付けて記載。「なぜそのニーズは既存商品で満たせていなかったのか」「新たにどのような工夫を行うのか」を記述する。
⑤ 競争力・差別化
⑤-1 差別化の方針
記載要領:市場における位置づけを明確にし、既存商品との差別化戦略を具体的に記載。ターゲットが他商品と比較した際の「決め手」となる価格以外の優位性(提供価値、品質、季節性、他商品との一体提供による付加価値、地域独自性等)を詳細に書く。
品質向上型 ― 高付加価値化の妥当性 審査の観点に「高付加価値化ありきの取組となっていないこと」とあります。「単に値段を高くしただけ」「豪華な食事をつけただけ」はNGです。既存商品の売上・リピート率等のデータを分析し、「現状の課題(ここが足りないから高く売れない)」を特定した上で、高単価化に直結する改善であることを論理的に説明します。
⑥ 販路基盤整備・情報発信等
⑥-1 販路開拓計画

実施期間内・終了後の取組。自社HP、旅行業者、OTA、宿泊施設・観光案内所、地図情報サービス等における「具体的なサービス名」「交渉状況(開始前、交渉中、提携済み等)」を記載。

⑥-2 販路の設定理由
記載要領:商品特性やターゲットの購買傾向を踏まえ、なぜその販路か。「その媒体をターゲットがどう使っているか」を確認した妥当性を説明。
⑥-3 活用する情報発信媒体

自社SNS、Web広告、OTA広告、デジタル媒体、アナログ媒体等、具体的なURLやサービス名を記載。

⑥-4 効果的な販路開拓・情報発信計画
記載要領:商品特性やターゲットの媒体傾向を踏まえ、なぜその販売促進計画が妥当と判断したかを記載。
⑥-5 販売時の観光コンテンツの運営実施事業者

団体・組織名、担当部署、旅行業登録の有無、役割、電話番号。

ガストロノミー型の販路 ガストロノミーは高単価な「体験」となるため、富裕層向け旅行会社、海外の専門OTA、ファインダイニング専門の予約プラットフォームなど、ターゲットに刺さる具体的な販路名と交渉状況を記載します。
品質向上型の販路 ― 海外販路への直結 ①-7で参画させたDMCや旅行業者のネットワークを活かします。「自社HPで待ちの営業」ではなく、「連携先ランドオペレーターが持つ海外の富裕層向け旅行代理店(BtoB)への直接セールス」や「海外OTAの高価格帯専門カテゴリへの掲載」など、高単価層に確実に届く販路を記載します。
⑦ 事業の目標
⑦-1 収益関連KGI
  • 販売開始後の収益性(今年度、次年度、次々年度、将来安定化した時点の想定単価、販売数、費用、収益)。※費用には補助金充当分も含む。
  • 安定化想定年数。

価格設定の理由:コストの積み上げだけでなく、ターゲット層の消費動向を踏まえた価格設定。黒字が見込まれ、かつ観光客が納得する価格である理由。

想定費用の内訳:実際の販売・運営時に発生する変動費・固定費の内訳を可能な限り詳細に記載(「このくらいなら黒字化できる」といった漠然としたものは不可)。

ガストロノミー型のKGI 食のコンテンツは「原価率(食材費・人件費)」が高くなりがちです。適正な利益が出る「インバウンド向けの高付加価値価格」の算定根拠を記載します。「想定費用の内訳」では、食材調達費、料理人・通訳ガイドの人件費、施設維持費などの変動費・固定費をリアルに計算します。
品質向上型のKGI ― 大幅な収益性アップ 「想定販売単価」が既存商品からどうジャンプアップしたかを提示します。「価格設定の理由」には、連携先のDMC等による市場調査・適正価格診断の結果を根拠として記載し、「この価格でも売れる」という説得力を持たせます。
⑦-2 KPI

事業実施期間内の指標、数値、単位、計測方法を設定。

⑦-3 次年度以降の中長期的な計画
記載要領:補助事業終了後、数年間にわたりどのような販売計画を立てているか。「初年度と2年目以降の戦略の差異」「具体的な販売チャネル」「段階ごとの開始時期」などを具体的に記載。
⑧ 体制・オペレーション
⑧-1 事業の着実な実施にあたっての課題
記載要領:コンテンツ提供時の体制・オペレーションの課題。ガイドのマッチング時間、業務負担の変化などを明確にする。
⑧-2 対応策(省人化・省力化等)
記載要領:課題解決のための具体的施策。「誰が、何を用い、どう行うか」。ICTの活用など、補助終了後も持続可能である裏付け。

加点項目の記述法:ICTを活用した販売機会の創出、定型業務の代替による人員削減・工数削減効果。業務フローの見直しによる手順・判断基準の標準化(属人化排除、教育負担軽減)などを合理的に説明する。

ガストロノミー型 ― 属人化解消 飲食や体験の提供は属人的になりがちです。多言語メニューのデジタル化(AI翻訳・注文システム)、予約・決済の一元管理システム導入など、「ICTを活用して、少ない人数でも高付加価値な食体験を提供・継続できる仕組み」を具体的に書くことで、強力な加点要素となります。
品質向上型 ― VIP対応の標準化 高単価化に伴い、VIP対応ができる多言語ガイドの確保や、個別の顧客ニーズ(アレルギー、プライベート送迎等)に柔軟に対応するオペレーションの高度化が必要です。それを属人的にせず、DX(予約一元管理やAI対応)で「省力化・標準化」する計画を書くことで強力な加点となります。
⑨ 地域裨益
⑨-1 観光地域づくりへの寄与・地域への好影響
記載要領:観光需要分散、地域内での消費拡大、滞在時間延長など、コンテンツが地域へどのようにもたらす好影響・寄与を具体的に記載。
ガストロノミー型 ― 第一次産業への還元 ガストロノミー事業の最大の強みは「経済波及効果の広さ」です。観光客が落としたお金が、レストランだけでなく、農家、漁師、酒蔵、伝統工芸(器の生産者)へどう循環し、地域の雇用や産業の活性化にどう繋がるのかを具体的にアピールします。
品質向上型 ― 経済波及効果の拡大 品質向上したことで「二次交通(ハイヤー等)や高級宿泊施設」にもお金が落ちるなど、地域全体への経済波及効果が拡大したことをアピールします。
⑩ これまでの実績等
⑩-1 観光庁事業等の活用実績

「食」ガストロノミー推進事業、地域観光新発見事業等の採択実績、事業名、管理番号、造成したコンテンツの内容・販売状況(URL、販売数、単価等)、課題と本年度事業との違いを記載。

⑩-2 他省庁事業等との関連性

農水省(農泊、GI等)、総務省、経産省、文化庁、環境省等の事業活用実績。

⑪ 加点項目
⑪-1 加点項目
  • 内閣府「コンテンツ地方創生拠点」に該当するか。
  • 持続可能な観光(BTV、GD、JSTS-D等)の認証取得・準拠事業者がいるか。
  • 広域連携DMOの「広域連携観光戦略」等に基づく支援対象事業か。
⑫ 誓約事項

他補助金との重複申請時の取り下げ、暴力団排除、事業後のフォローアップ調査への協力等への同意(はい/いいえ)。

様式1は全12項目を漏れなく記述

【様式2】費用積算書

Excel形式で作成し、経費の妥当性と計算の正確性が求められます。

入力項目

事業費割合チェック

自動計算セルにて、以下の要件を満たすか確認されます。

類型別の補助金額・経費ルール比較

項目新創出型ガストロノミー型品質向上型
総事業費範囲600万~2,100万円600万~2,500万円1,200万~4,200万円
定額補助上限400万円400万円800万円
超過分補助率1/21/21/2
造成経費50%縛り区分2のみ区分2のみ全区分で必須
必須連携先なし(経験不問)飲食+体験事業者旅行業者+DMC
追加提出書類なしなし既存コンテンツ実績証明
ガストロノミー型の経費計上ポイント
  • 造成費:食材の背景を語るためのストーリーブック制作、生産地訪問ルートの開拓費、専門家(有名シェフや食文化研究家)への意見聴取・謝金、食に特化した通訳ガイドの育成費など。
  • 備品・設備:予約管理システム、多言語タブレット。※調理器具や厨房設備等は、「インバウンドへの特別な食体験提供に真に必要不可欠なもの」であることを備考欄で論理的に説明する必要があります。
品質向上型の経費計上ポイント(★50%縛りに注意) 「①コンテンツの造成(改善)に係る経費」が必ず総事業費の50%以上でなければなりません。広告宣伝費やシステム・備品購入費ばかりにお金を使う計画は弾かれます。「コンテンツそのものの品質を磨き上げるためのソフト経費」(インバウンド向けガイドの高度な育成、VIP向け二次交通のルート構築、DMC等へのコンサルティング費用など)に半分以上を投下します。
また、品質向上型では「二次交通や宿泊施設の確保」にかかる経費や、旅行会社等による「海外販路基盤の拡大」にかかる経費も計上可能です。

補助対象経費の3分類と具体例

① 観光資源を活用したコンテンツ造成に係る経費

企画開発、ワークショップ開催、専門家意見聴取、インバウンド向けガイドの確保・育成(研修設計等)、コンテンツに付随するイベント実施、モニターツアー開催、効果測定調査費など。

※品質向上型の場合は、二次交通や宿泊施設の確保費も対象。

② 販路基盤整備・情報発信に係る経費

SNS投稿運用、広告費、写真・ショート動画等の素材作成、自社サイト作成・AI検索を想定した改善、ファムトリップ・インフルエンサー招聘、商談会旅費(真に必要と認めるもの)、OTA掲載やDMCへの営業費。

③ 備品の購入・設備の導入に係る経費

省力化・省人化・利便性向上に資するシステム(予約管理システム構築等)を含む。

※単価50万円以上の機械装置等は「処分制限財産」となり、事業終了後も勝手に処分・売却できない点に注意。

補助対象外経費(計上してはいけないもの)

【様式3】事業実施スケジュール

事業の工程表です。採択後(6月下旬頃予定)から令和9年2月末までのスケジュールと、事業終了後3年間程度の計画を記載します。

必須項目

自由記述項目(例)

注意:様式1(事業計画書)や様式2(費用積算書)と整合性がとれていることが必須。
ガストロノミー型のスケジュール留意点 「食」には「旬(シーズン)」があります。提供する食材の旬と、モニターツアーや販売開始のスケジュールが論理的に矛盾していないか(例:冬の味覚をウリにしているのに、夏のモニターツアーで評価を確定しようとしていないか等)を確認し、現実的なスケジュールを組みます。
品質向上型のスケジュール ― PDCAサイクルの明示 「既存商品の課題分析・現状調査」→「DMC等の専門家による改善策の策定」→「多言語化・ガイド育成」→「モニターツアーによるテストと検証」→「OTA・海外エージェントへの商談・販売開始」という、PDCAサイクルが明確にわかるスケジュールを引く必要があります。

【様式4】事業概要(プレゼンテーション用1枚もの)

PowerPoint等で作成する、プロジェクトの全体像を1枚で表すサマリー資料です(申請ページに提出)。

記入内容

注意:AI生成画像は原則禁止。
ガストロノミー型の様式4ポイント ― 「シズル感」と「体験」の視覚化 最大2点まで挿入できる写真・図解が極めて重要です。単なる「料理のアップ写真」ではなく、「美しい景観の中で地元民と一緒に食事をしている様子」や「生産現場(畑や海)でインバウンド客が体験している様子」など、「食×背景×体験」がひと目で伝わる写真を使用します。体制図では、実施主体・飲食店・農業/漁業従事者・旅行会社の関係性をブロック図で示します。
品質向上型の様式4ポイント ― Before/Afterの明示 既存商品がどういうもので、本事業によって「インバウンド向けの特別感のある商品」にどう生まれ変わるのか、写真や図解を用いてビフォーアフターを一目でわかるように表現します。体制図では、旅行業者やDMCがどのポジションに入り、どうサポートするのか(監修、販売ルートの提供など)を視覚的にアピールします。

【様式5】実施主体との連携について(同意書)

申請にあたり、連携先の事業者から合意を得ていることを証明する書類です。PDF形式で提出します。

記入項目

注意:実施主体は連携先に対して事業計画書の内容を十分に説明し、合意を取った上でこの同意書を作成してもらう必要があります。
ガストロノミー型 ― 飲食+体験事業者からの同意書が必須 様式1の①-7で記載した「飲食サービス提供事業者」と「体験商品提供事業者」からは、必ずこの同意書を取得して提出する必要があります。「名前だけ借りた」「口約束だけ」は認められません。生産者やレストランが本当にこのインバウンド事業にコミットしていることを証明する重要な書類です。
品質向上型 ― 旅行業者+DMCからの同意書が必須 応募資格として必須である「旅行業者」および「DMCやランドオペレーター等」からは、必ずこの同意書を取得して提出する必要があります。役割欄には、「富裕層向けコンテンツの品質監修および海外エージェントへのBtoB販売」など、専門家としての具体的なコミットメントを記載してもらいます。
様式1~5は相互整合が採択可否の前提
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分野特化型(ガストロノミー)― 採択を勝ち取るための絶対法則

想定採択 10件程度 ガストロノミー型は、単なるレストランのメニュー開発や特産品の販売促進ではありません。以下の3要素を各様式に徹底して書き込むことが絶対条件です。

1. テロワールの言語化

「なぜこの土地で、この食が生まれたのか」という気候風土・歴史のストーリーを、第三者が読んで納得できるレベルで言語化する。「美味しいから」ではなく「この土壌・水脈・文化があるからこそ、この食が存在する」を書く。

2. 圧倒的な利益循環構造

一次産業(生産者)から三次産業(飲食・宿泊)までを巻き込み、観光客が落としたお金が農家・漁師・酒蔵・伝統工芸(器の生産者)へどう循環するかの地域経済への波及構造を具体的に描く。

3. 「特別感」と「配慮」

特定の食習慣(ヴィーガン等)を持つ富裕層インバウンドが、高額を払ってでも体験したいと思わせる「特別感」と、食習慣・アレルギーへのきめ細かな配慮の両立。

ガストロノミー型 追加提出の留意点

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品質向上型 ― 採択を勝ち取るための絶対法則

想定採択 100件程度 品質向上型は、「すでに0→1ができている商品を、プロの力を借りて10→100のインバウンド高収益ビジネスに進化させる」ための投資枠です。以下の3要素が絶対条件です。

1. 「特別性」の創出

どこにでもある体験ではなく、通常非公開の場所や特別な人脈を活用した「インバウンド富裕層が熱狂する限定的な価値」を付与する。「非公開の国宝級寺院の夜間貸切」「人間国宝の工房でのプライベート体験」など。

2. プロフェッショナルな販路構築

自前主義を捨て、市場ニーズを知り尽くしたDMCやランドオペレーターを体制の「中核」に据え、確実な海外販路に乗せる。海外富裕層向け旅行代理店(BtoB)への直接セールスや、海外OTAの高価格帯カテゴリへの掲載。

3. データに基づく課題解決

なんとなくの改善ではなく、既存商品のデータを分析し、「なぜ高く売れなかったのか」を解消するための的確な資金投下。造成費50%以上の厳格な縛りを遵守し、「コンテンツそのものの品質向上」に予算を集中。

品質向上型 追加提出の留意点

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第3部:採択に向けて絶対に守るべき留意点・ルール

申請書を書き上げる上で、以下の事務的・制度的ルールを逸脱すると、内容が良くても不採択や交付取消の対象となります。

事前着手の禁止

補助金の交付決定(令和8年6月中旬~7月目途)を受ける前に発注・契約・支出を行った経費は、いかなる理由があっても1円も補助対象になりません。スケジュールの策定時は、交付決定後に契約・発注が行われるように設定してください。

相見積もりの必須

交付申請時(採択後)には、原則として「2者以上からの見積書」が必要であり、安価なほうを採用しなければなりません。様式2(費用積算書)を作成する段階で、相見積もりが取れるか(特定の業者しかできないものではないか)を想定しておく必要があります。

精算払いの原則と自己資金

補助金は事業完了後の「後払い(精算払い)」です。事業期間中の支払いはすべて実施主体が一旦立て替える必要があります。様式1の「自己負担金の財源」や財務諸表等で、事業を遂行するだけの資金力・キャッシュフローがあることを証明しなければなりません。

虚偽記載と利益相反の禁止

提出資料に虚偽があれば即無効となります。また、連携先や調達先が自社のグループ会社や関連会社である場合、その取引から発生する「利益」は補助対象外として控除しなければなりません。

証拠書類の保管と行政監査

事業完了後5年間は、すべての帳簿と証拠書類(見積書、発注書、納品書、請求書、銀行振込明細等)を保管する義務があり、会計検査院の監査対象となります。

以上の公募要領の趣旨、審査基準の深堀り、および全様式の指定項目を完璧に満たすようにテキストを練り上げることで、競争力の高い申請書を作成することができます。各様式の「記載要領」の指示に従い、審査員が「自走可能で地域に大きな経済効果をもたらす」と確信できる粒度で詳細を書き込んでください。

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