セミナー

村井宗明(DXエンジニア、元衆議院議員) こうすれば、SNSをビジネスに使える!ビジネスで勝つためのルールは変わった!

ふだん、商工会などで1時間の講演をしているものを、youtube用に20分に圧縮したものです。

経営学の基本 4要素

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ビジネスモデルの4要素という基本は変わりませんが、現実に合わせて各論の内容が変化しています。
第1章 ターゲット
第2章 バリュー
第3章 ケイパビリティ
第4章 収益モデル

第1章 ターゲット

基本である「特定の顧客層に絞って、その層の中でのシェア1位を取る。」というターゲット戦略に大きな変化はありません。

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その上で、これまでのお金を出してくれる方が「顧客」であり、「ターゲット層」として考えるのは、すでに古くなっています。ITによるコスト構造の変化によって、基本無料のフリーミアムモデルの考え方が広がっています。

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例えば、昭和の典型的な商品である「車」で考えてみましょう。車を1台作るのと、2台作るのではコストが大きく変わります。たくさん作ればコストが増えます。
しかし、令和のICT時代においては、1人ダウンロードも100万人ダウンロードもそれほどコストは変わりません。なので、無料の顧客を認めるビジネスモデルが広がりました。

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これまで、多くの企業は顧客の名簿を集めるのに必死でした。その見込み顧客のリストには、名前、住所、電話番号が必須でした。しかし、その考え方は大きく変わりました。
SNS時代には郵送しないので住所も本名も不要で、IDの横に属性がついているデータこそが重要になっています。

下記が、国内で最もユーザーが多い「LINE」を活用したデータマーケティングツール「LINY」の管理画面です。
このように、LINE内で年代別、地域別、性別、購入履歴別、登録経路別に分けたデータをキッチリと持っていることが、勝つ企業の特徴です。

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一方で、SNSのフォロワー情報に属性データをひもづけていないデータは、残念ながらあまり役に立ちません。その場合、全員に同じ情報しかやり取りができないからです。
このように、SNSのIDに属性データを付けてはじめて、地域ごとのイベント案内、購入履歴に合わせた商品レコメンド、学年に合わせた教材の提供ができます。

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さらに、これまで顧客をしぼって、特定のセグメントで1位を取るという事がターゲット理論とされていましたが、変わりつつあります。顧客データにデータをつけている今の時代においては、多品種少量生産で個人の嗜好に合わせてマーケティングを進める事が主流となっています。

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SNSにおいては、属性ごとの一斉配信を活用していても、相手の名前を全自動で入れる「疑似 ONE on ONE」を進める事が、中小でも成長企業の必須戦略となります。

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商品、値段、広告文言、アプローチ、すべて全体にリーチできる正解はありません。それぞれの各層ごとに正解が違います。だからSNSデータセグメントが令和の基本的な市場戦略になります。
新聞広告の効果が少ないのは、データセグメントができないからです。SNSは安価で簡単にデータセグメント配信ができるため、効果が高いのです。
(やり方がわからない方は一番最後を見てくださいね)

第2章 バリュー

ある製品やサービスを利用することで実際に顧客が得られる価値をバリューと言います。ここは、昔、大学で習ったこととほとんど変わりません。

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例えば、高級車のバリューは、車で移動する事ではありません。その場合、もっと安い車でも満たせるからです。ここには、高級車を持っていることのステータス向上というバリューが存在しています。

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バリューは一般的に、QCDSで成り立っています。
「Q・クオリティ」で勝つには、圧倒的に良い。
「C・コスト」」で勝つには、圧倒的に安く「他店が1円でも安ければ下げます」と言う。
「D・デリバリー」で勝つには、翌日の配達などのスピード。
「S・サービス」で勝つには、使い方などを教えるアフターサービス。
などが鉄則です。

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大きなタピオカを購入した顧客にとってのバリューは味そのものよりは、SNSでの「いいねの数」です。なので、原宿に行けば、SNSにアップして半分ぐらいしか飲まずに捨ててあるタピオカの大型の容器にあふれています。
また、「ラーメン二郎」でSNSにラーメン大盛をアップした後で、残す人もたくさんいます。これも、大盛を食べたいというバリューではなく、SNS映えというバリューです。
さて、どういう時にSNSにシェアされるのでしょうか?2つに分解されます。

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まず、先進的な15%の顧客・・いわゆるアーリーアダプターにとっては、それを使っていることで「すごい」と周囲に認められて、「いいね」が押される商品・サービスがポイントです。とくに、WOWと驚かれるものはシェアされやすくなります。また、写真においては、色などでわかりやすい商品を提供してあげる事が重要です。
このアーリーアダプターに認められてから、次のマジョリティに広がります。

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その後、68%の顧客・・いわゆるマジョリティ層は、孤独を嫌い全体の流れに乗る傾向があります。みんなと同じことを認められて「いいね」を押してもらえる商品を提供してあげられるようにすべきです。
キャズム超えと言って閾値を超えたときに、流行がさらに流行を呼びます。

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シェアされるためには、写真や動画などの見た目で簡単にわかることが必要です。

第3章 ケイパビリティ

競争に勝てる能力、つまり「組織の強み」をケイパビリティと言います。特に、その中で、他社が簡単にマネできないものが「コアコンピタンス」といいます。このマネできない組織の強みが競争に勝つ源泉となります。

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企業の能力は、経営資源(リソース)と運用(オペレーション)で決まります。そして、ある企業がうまくいくと、必ず、競合他社はマネをしようとしてきます。

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昭和では、土地・工場機材の資材や資本が中心でした。
例えば、最新鋭の工業機材が利益を生み出しました。しかし、I-phoneで有名なアップルは工場をもっていません。ファブレス経営と言って、工場を持たないメーカーが、自社で企画、開発した商品の製造を他社の生産工場に委託して、自社ブランドとして販売を行うビジネスモデルが増えています。そして、成長しています。
また、昭和では、人通りの多いところに店を持っていることが、小売業の経営資源でしたが、アフターコロナにおいては、高い不動産代を払うよりもネット販売の方が効率的だったりします。

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ネットの時代においては、検索に当たりやすい=SEOスコアの高いサイトを持っていることが経営資源です。
そして、SNSで属性データのついているフォロワーをたくさん抱えていることも、重要な経営資源になります。

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競争において他社が簡単にまねできないコアコンピタスとなる経営資源は「人」です。ある狭い分野において技術力の高いエンジニアです。AI時代は、100人分の仕事を1人でやってしまう人が続出します。
例えば、そろばんの名人100人とエクセルを使える人が計算で競争します。2つの数字を足し算する場合は変わりはありませんが、10万個の数字を足し算する場合はそろばんの名人が100人協力しても、エクセルの関数をつかえる1人のエンジニアに勝つのは難しいです。

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人が経営資源になるとモチベーションが重要になります。すべて、給与アップでモチベーションを上げようとするとコストが大きくなります。なので、会社の経営理念などでの団結や人間関係がモチベーションを上げるために必要となります。

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経営資源以外のケイパビリティとして、重要になるオペレーションとしてAIなどが普及し始めています。これらは365日24時間、自動で回答するという強みがあります。
参考例として、兵庫県川西市のLINEのAIに質問をしてみてください。自然言語を理解して、自動で回答する精度と量に驚きます。
川西市 公式LINEアカウント
https://line.me/R/ti/p/%40ezh8609j

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変化の速い時代は、自ら確信し続けて効率化し続ける組織的能力こそが重要です。大きいものが勝つのではなく、変化への対応をする力が勝ちます。
だから、中小企業でもPDCAサイクルを高速で実行できれば、大企業病の大手に勝つ可能性があります。
その勝てるポイントを、私たちは「桶狭間ポイント」と呼んでいます。織田信長の少数精鋭がスピードで、今川義元の大軍を破った桶狭間の戦いのような事が、ごく普通に起こる時代が現代です。

第4章 収益モデル

収益モデルの理論は、昔とほとんど変わりません。
「管理会計」「財務会計」「税務会計」で分析します。
特に、「財務会計」では
・P/L 損益計算書
・B/S 賃借対照表
・CF キャッシュフロー計算書
が重要になります。
その上で、時代によって損益分岐点のグラフに変化が生じています。

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例えば、昭和時代の典型的な商品である「車」においては、1台作るのと2台作るのでコストが変化していました。
しかし、令和時代のIT系は利用者が増えてもあまりコストが変わりません。1人ダウンロードも1万人ダウンロードも大差がありません。
そこで、基本無料のフリーミアムモデルが登場しています。オンラインゲームにおいては1%の課金者で99%の無課金者に遊んでもらっても採算が取れています。それは、無料ユーザーの利用による追加コストがほとんどないからです。

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また、資金調達の方法においてもクラウドファンディングなどの新たな手法が出ています。この新しい資金調達で、すでに2000億円強もの市場があります。

変化の多い時代においては、支出を「固定」から「変動」に、収入を「変動」から「固定」に変える事が、競争力をもたらします。

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「固定の経費」を「変動の経費」に転換する事が「FのV化」です。正社員はどんどん派遣社員などになり、外注費に変わりつつあります。また、会社の車や保養所などをシェアリングにして使った分払いにすることで変化に対応できます。

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一方で、収入は「変動」から「固定」にした方が有利です。そのため、サブスクリプションモデルという、継続的に固定した費用を払ってもらい、その期間中にどれだけでもサービスをするビジネスモデルが広がっています。
音楽業界ではよく進んでいますが、食事、ワークスペース、ジムでも固定収入化が進んでいます。